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みなさんこんにちは。
皆さんの生活に寄り添って、様々な製品と製造するメーカーを紹介する、インベスティです。
前回は、『社名に隠された歴史を紐解く』と題して、国内パソコンメーカーの歴史を紐解いてみました。
今回は、パソコンコーナーの隣に鎮座する、12月がもっとも輝く商品群『プリンタ』(正確には家庭用インクジェットプリンタ)の、社名の歴史を辿っていきます。
もう年賀状シーズンは終わってしまいましたが、年に一度は大勢の方が訪れるプリンターコーナー。
師走の忙しい最中なので、なかなかゆっくり見ることが出来なかったかもしれませんので、改めてメーカーの歴史から現在の製品に至るまで、ご紹介させて頂きます。
EPSON 輝けるヒット作の息子たち 創業 1942年
まず最初に紹介するのは、国内プリンタメーカー2大巨頭の1つ、『エプソン』です。
セイコー時計の組み立て工場として諏訪に設立される
この会社の創業は1942年(昭和17年)。現セイコーで時計の修理などを行っていた、従業員の山崎久夫によって長野県諏訪市に設立されました。
当初はセイコー腕時計の組み立て工場としてスタートしましたが、やがて時計開発にも注力していきました。諏訪で開発した商品群は、セイコーの主力製品となっていきます。
世界初の電子プリンターを発売
転機が訪れたのは、1964年(昭和39年)に開催された東京オリンピックです。
セイコーが大会の公式時計を担当することになり、セイコーグループの一社として陸上競技などの記録を行うプリンティングタイマーを開発しました。
電子記録システム「プリンティングタイマー」 | マイルストンプロダクツ | 企業情報 | エプソン
その時の知見を生かして、1968年(昭和43年)に世界初の電子プリンター『EP-101』を発売します。累計100万台以上を販売するヒット商品となりました。
当時、1960年代後半といえば、他の記事で紹介させていただきましたが、日本が世界に挑んだ『電卓戦争』の華やかなりし頃です。
テーブルを占拠する大きさだった電卓が、20万円(しかも当時のお金です)もした訳です。
ソロバンから機械計算に変わった事により、計算スピードが向上したため、計算結果を出力する電子プリンターが求められていました。
そこに、陸上競技などの計測結果を記録するプリンターの技術を使って、電卓に後付する電子プリンターが大ヒットした訳です。
小型軽量デジタルプリンタ「EP-101」 | マイルストンプロダクツ | 企業情報 | エプソン
『電卓にプリンター?』と言われても、ピンとこない方がいらっしゃるかも知れません。
現在のお店で利用されているレシートが出る『レジスター』の原型、という風に考えていただければ、分かり易いですね。
こうして世界有数のプリンターメーカーが誕生したのです。
このEP-101のヒットを踏まえ、『EPの息子(SON)舘がもっと広がっていくように』という願いを込めて、1975年(昭和50年)に『EPSON』というブランドが設立されました。
その後、1982年(昭和57年)に会社名を『エプソン株式会社』と改められました。
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現在は『カラリオ』と『エコタンク』の2ラインナップを展開
現在は国内家庭向けインクジェットプリンター市場において、次に紹介するキャノンと共に、2大巨頭として君臨しています。なんと2社合計の国内シェアが毎年90%近くあるという、脅威のシェア率を誇っています。
現在は写真が綺麗な『カラリオ』とインクコストを重視した『エコタンク』の2種類が主力シリーズとなっています。
『カラリオ』シリーズ

エプソン プリンター A4 インクジェット 複合機 カラリオ EP-880AW ホワイト(2017年モデル)
- 出版社/メーカー: エプソン
- 発売日: 2017/10/19
- メディア: Personal Computers
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『エコタンク』シリーズ

エプソン プリンター エコタンク搭載 A4カラーインクジェット複合機 EW-M630TB1 ドキュメントパック非同梱モデル 無償保証期間3年 ブラック(黒)
- 出版社/メーカー: エプソン
- 発売日: 2018/10/25
- メディア: Personal Computers
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エプソン A4カラープリント対応 エコタンク搭載 インクジェット複合機(ホワイト)EPSON エコタンク搭載モデル EW-M571TW
- 出版社/メーカー: エプソン
- メディア: エレクトロニクス
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Canon カメラから電子機器メーカーへ 創業1937年(昭和12年)
日本国内のインクジェットプリンタ市場において、エプソンと勢力を2分するのが、キヤノン株式会社です。
会社名は観音様から 電子機器メーカーの社名に意外な由来
こちらは、創業1937年(昭和12年)となっておりますが、実際は1933年に創立された『精機光学研究所』がルーツとなっています。
創業者の一人にあたる吉田五郎は、子供の頃からカメラ少年でしたが、一念発起し、国内でのカメラ製造に踏み切ります。
当時は既に世界的企業であったライカのカメラを分解しては、部品を一つ一つ研究し、ようやく念願の国産カメラ試作機『KWANON(カンノン)』を造り上げました。
https://www.pronews.jp/news/201408201613924.html
『カンノン』と名付けたのは、吉田が熱心な観音経の信者だったためです。
当時のロゴマークにも千手観音が描かれていて、
観音様の慈悲にあやかり、世界で最高のカメラを創る夢を実現したい
カメラ最初の試作機「カンノン」誕生から80周年 | キヤノングローバル
という願いが込められているのだそうです。
その後、1935年に『Canon(キャノン)』というブランドを作り商標を出願。
国内カメラ市場では、最初こそ他社へ製品を供給する形をとっていましたが、徐々にキャノン製カメラの優秀さが認められ、次々と新製品を開発していきます。
1947年には正式に『キヤノンカメラ株式会社』に社名変更をしました。
この『KWANON』から『Canon』へ変更したのは、『標準』『規範』という意味を持つ言葉『Canon』こそ、精密機器のメーカーに相応しい、またカンノンに似ているため、採用されたのだそうです。
ちなみに戦前の会社ですので、当時は『キャノン』のように小文字表記をする習慣はありませんでしたから、『キヤノン』という表記をしていたそうです。
戦後も『ヤを小文字にするとバランスが良くない』と、あえて小文字にしなかったとか。
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『右手にカメラ 左手に事務機』オフィス機器へ本格参入
1950年代にはカメラの国内市場において、確固たる地位を築いていました。
そのため1960年代以降は『右手にカメラ 左手に事務機』を合言葉に次々とオフィス事務機具を開発し、販売していきます。
そういった流れの中で開発されたのが、『バブルジェット』と命名されたサーマル式インクジェットプリンター『BJ』シリーズです。
詳細な技術は省きますが、従来のインクジェットプリンターと比べて、プリンターのヘッド(インクの吹き出し口)部分が比較的単純なため、小型化や低価格化がしやすくなります。
また、印刷の高速化も可能となりました。
このBJシリーズのヒットにより、キャノンはエプソンと国内市場を分け合うほどの勢力を得ました。
現在は、バブルジェット方式を継承しつつ、写真の綺麗さと高速印刷を両立した『ピクサス』シリーズを擁しています。

Canon プリンター インクジェット複合機 PIXUS XK80
- 出版社/メーカー: キヤノン
- 発売日: 2018/09/06
- メディア: Personal Computers
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Canon プリンター インクジェット複合機 PIXUS TS8230 ブラック (黒)
- 出版社/メーカー: キヤノン
- 発売日: 2018/09/06
- メディア: Personal Computers
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brother 全ては麦わら帽子から始まった 創業1908年
最後はbrother(ブラザー)です。
上記のEPSONとCanonで散々、『2強』『2大勢力』と記してきましたが、家庭用インクジェットプリンタの国内市場においては、堂々の第三位です。
が、誠に残念ながらエプソンとキャノンが、毎年40%ずつは国内シェアを確保しています。残り20%のうち10%で、エプソンとキャノンが熾烈な競争で取り合い、残り10%をブラザーが占めている、という状況です。
ちなみに2017年度の出荷台数はこんな感じです。
2017年 国内インクジェットプリンター/MFP市場実績を発表
が、A3インクジェット部門やA4レーザー部門では、結構頑張っている…はずですが、資料が見つけられませんでした。
と、言うことで、最後はブラザーの軌跡を追っていきます。
ルーツは『安井ミシン商会』
元々、創業者の父(というか実質的な創業者)である安井兼吉が、1908年にミシン修理を行う『安井ミシン商会』を創立したのが出発点です。
兼吉の後を継いだ息子の正義が、『麦わら帽子製造水圧機』を作って好評を得たため、ミシン製造へと踏み込んでいきます。
正義は弟の実一とともに家業を継いだため、『安井ミシン兄弟商会』に社名を変更しています。
続いて、麦わら帽子専用のミシン『昭三式ミシン』を発売します。
最初は海外製と比べてあまり評判は良くなかったようですが、長く使用していくうちに高い耐久性が評価されました。
麦藁帽子を編むためのミシンですから、上部のアームが特殊な丸い形状をしています。そしてよく見ると、『BROTHER』と印字されているのが見えると思います。
兄弟で力を合わせて作ったこのミシンの商標を『ブラザー』として、後に社名となりました。
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様々な製品開発を経て、印字と通信技術で世界へ
ミシンで培った技術を元に、戦後はオートバイから洗濯機まで様々な製品を開発します。残念ながら現在は撤退していますが、その中でアメリカでヒットした『タイプライター』と、同じくアメリカの会社と共同で開発した『ドットプリンター』によって事務用機器としての実力を蓄えていきます。
その後、NTTブランドでFAXを開発。
プリンターとしても使えるFAX複合機では、国内、全米で長くトップシェアを誇るなど、日本に留まらず海外で躍進する会社となりました。
インクジェットプリンター『プリビーオ』を展開
エプソン、キャノンの両社と決定的に違うのは、家庭用インクジェットプリンターのラインナップを見ると分かります。
『FAX付き複合機』が主力を占めているのです。
現在も、ラインナップ上は一部機種を除き、FAX機能付が大半を占めています。
また、上記の両社が『6色インク』に拘り、上位モデルを6色インクタイプにしていますが、ブラザーのみ4色インクのみのラインナップであるのが特徴です。
その結果、写真の鮮やかさに関しては両社に譲りますが、コストパフォーマンスでは高い評価を得ています。
終わりに
これで国内大手のインクジェットプリンタメーカーをご紹介しましたが、皆さんいかがだったでしょうか?
それぞれの会社に歴史があり、その歴史の中で培った特徴、特色、強みが存在します。
単純に売り場でカタログスペックやデザインを比較するだけでなく、各社の歴史を踏まえて、自分にあった好みの製品を選んでいただくのも、面白いではないでしょうか?
それでは、最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます。
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